悲哀 哀愁 理不尽 非道徳的 その中に「悦楽｣は存在する。

第二次大戦下の北アフリカ。どこにでも現れるナチスドイツの軍隊。
南へ南へと進撃を続けていく。
不安定な道路状況や天候によって、アフリカの地図は、いつも書き変わっ
ていく。安定した進撃のために正確な地図を手に入れたいナチス・・・

映画「イングリッシュペイシェント」は、そんな戦争の最中に男女が恋に
落ちるという物語。題が、「我慢強いイギリス人」というのだから、どんな
だろうと思うけど・・我慢出来ずに恋には落ちたようだ。

主演は、あの「シンドラーのリスト」の中でやはりナチスドイツの収容所
所長を演じたレイス・ファインズという男優。ちと名前を覚えづらいが・・
もっと分かりやすく言うと、「ハリーポッター」の中で、あの悪役魔法使い
「ヴォルデモート」役と言えば分かり易いだろう。とはいえ、「ハリー・・」の
中では、メイキングの為さっぱり顔は、分からないんだけどね。
まあ、個性派俳優とは、彼の様な役者を言うのだろう。とにかくすごい役
者!!「愛を読む人」にも出ていた。多才な役者さん。

彼が、恋に落ちるのは、クリスティン・スコット・トーマス演じる「人妻｣
だった。クリスティン・スコット・トーマス・・この女優が、また役者だ。
しかもまあ美人!!イギリス人なのだが、フランス語がとても堪能らしく、
よくフランス映画にも出演している。

許されないと解りながら、二人は、逢引きを続ける。まあ、決して待ち受
けるのは、「幸せ｣とは限らない。

クリスティン・スコット・トーマスは、「目｣で演技をする人。ほとんど「目」
だけで感情を表現できる。喜び、悲しみ、驚き、不安・・全て使い分ける。
とにかく、感情表現が美しい。フランス映画｢ずっとあなたを愛してる｣の
中で、彼女の見せる「悲哀｣に満ちた表情は、セリフなしでも理解できる
ような気がした。同じくフランス映画「熟れた本能」の中では、芯の強い
女を演じていた。

彼女の演技に加えて、レイス・ファインズの男臭さが、映画の中で愛し合う
男と女を強く表現できている。
映画は、アカデミー賞にノミネートされるものの、残念ながら二人は、オス
カーを手に出来なかった。映画の中の看護婦役の女優が、助演女優賞を
取ったけど。

決して「卑猥(ひわい)｣な映画ではない。戦争という緊迫感を背景に、理不
尽な恋愛に走るふたりの大人たちの感情の移り変わりは、むしろ納得で
きるものになっている。ロマン漂う大人の映画と言える。

「悲哀」「哀愁」「理不尽」「非道徳的」そんなの中にこそ、「悦楽(えつらく)｣
は存在するのだと感じられる。

戦争中の理不尽な恋愛映画といえば、記憶にあるのは、あのハリソン・
フォードが主演した「ハノーバーストリート」という映画。第二次大戦下の
ロンドンのハノーバーを舞台に繰り広げられるやはり「人妻｣との恋愛に苦
しむ軍人の物語。なんと上官の妻に恋をしてしまうという。ストーリーとして、
結果そうだったというあらすじ。

ハリソン・フォードの説明は、いいとして。女優は、レスリー・アン・ダウン
という女優。また、この女優がきれいな人。最近は、あまり見ないような気
がするけど・・演技力は、まあ並といったところですが。

この中でも、時間帯が問題なのである。「戦争中｣というバタバタな時期
に決して誰も許してはくれない・・その中にある胸の鼓動、抑えられない想
い・・・これもロマンという言葉で、片付けますかね～・・・

みなさんも、「張り詰めた意識｣・・持ってみてはいかがですか??
何か見つかるかも（＾◇＾）ボォ～っとしていても、「悦楽｣は見つからないかも。